

株式会社 高木包装
段ボールを“包材”から“価値を生み出す舞台”へ。
高木包装は、奈良県葛城市を拠点に、創造力と情熱で新しい「包む」かたちを提案し続けています。
人の想いを大切にし、地域とのつながりを育みながら、日々ものづくりに挑戦。
新工場「TKG LAND」では、包む力で地域と未来をつなぎ、奥大和から世界へ発信しています。
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Interview
包む力で未来をつくる──奥大和から世界へ、愛と夢を届ける高木包装
株式会社高木包装 代表取締役社長 高木美香

変わり続ける“包む”のかたち
ーー高木包装さんの事業内容について教えてください。
高木:当社はもともと酪農から始まった会社ですが、昭和10年ごろに祖父が縄屋を立ち上げたことが原点です。当時、縄は農作業や梱包・運搬に欠かせないものでした。その後、時代の流れとともに縄はPPバンド等へと置き換わり、さらに戦後には段ボールの需要が急速に高まり、事業を段ボール製造へと転換しました。
物流が飛躍的に発展した高度成長期には、段ボールはあらゆる産業を支える存在として需要が拡大しました。当社もその波に合わせて成長し、地域における包装資材メーカーとしての役割を担ってきました。私が社長に就任してからは、これまでの歴史を踏まえながら“より付加価値の高い段ボールづくり”を目指しています。現在は約100名の社員を抱え、企画から製造・配送までをワンストップで担う体制を整え、時代のニーズに応え続けています。
愛と夢を持って、人と想いをつなぐ
ーー「包む」を企業理念の軸とされた背景を教えてください。
高木:私たちが掲げる理念は『愛と夢を持って包むこと』です。単にものを入れる箱をつくるのではなく、その先にいる人の喜びや驚きを想像しながら仕事をすることが大切だと考えています。
社員が情熱を持って仕事に取り組める環境をつくること。そして、お客様にとって段ボールが単なる梱包材ではなく、人や想いをつなぐ存在になれるようにすること。その二つが理念に込めた想いです。贈り物を開けたときに感じる高揚感や、ブランドの世界観を表現する力もまた、段ボールに託すことができます。一見すると“裏方”の資材に見える段ボールですが、そこにどれだけの想いと価値を込められるかが私たちの挑戦なのです。
企画に欠かせないのは想像力。創造力は社風そのもの
ーー「企画から製造・配送までワンストップで対応できる強み」とは、どのような点にありますか。
高木:当社の大きな強みは、企画から製造、納品までを一貫して対応できる点です。特に企画段階では、想像力が欠かせません。好きでなければ続けられない仕事ですし、適材適所を見極める力も必要です。
そのために社員教育に力を入れ、人間力を磨くことを重視してきました。デザイン部門を強化し、企画力を高めることで、単なる包装資材ではなく、顧客のブランド価値を高めるパッケージを提案できるようになりました。
また、当社の特長を語るうえで欠かせないのが“先代の先見性”です。当時としては珍しかったインクジェット印刷を早くから導入し、段ボールに新しい価値を持たせようとしたのです。無地で当たり前だった箱に、色彩やデザインを加えることは、単なる資材をブランド表現の一部に変える大きな一歩でした。この決断が、現在の「デザイン力を活かした付加価値の提供」へとつながっているのです。
ーー包装という一見“裏方”の役割の中で、大切にしていることは何でしょうか。
高木:段ボールケースは、なくてはならない存在です。その重要性を社員に繰り返し伝えることで、誇りを持って仕事に向き合えるようにしています。
ーー「心のかようパッケージづくり」とはどのような取り組みですか。
高木:贈り物を受け取ったときの喜びや、ブランドの世界観を伝えるパッケージを目指しています。人の思いがきちんと届くように工夫を凝らし、創造力を発揮すること。それが私たちの“心のかようパッケージづくり”です。

人を育て、地域とつながる
ーー約100名規模の組織で、「若いチームの力」はどのように活かされていますか。
高木:社員一人ひとりに“伝えること”を大切にしています。年に一度のスタート式や週一回の朝礼を通じて理念を共有し、若手も含めて全員が同じ方向を向けるようにしています。大阪・関西万博への参加は、社員に理念を実感してもらう良い機会になりました。
さらに、地域の子どもたちや海外の方に向けた工場見学やワークショップも積極的に行っています。実際に、地元の小学生が工場を訪れ、段ボールがどのように作られていくのかを間近で体験してもらっています。子どもたちが「段ボールってこんなに工夫があるんだ」「箱にもデザインがあるんだ」と目を輝かせていたのが印象的でした。その様子を見た社員も、自分たちの仕事に新しい誇りを持てるようになったと感じています。外からの視線にさらされることで社員の意識は確実に変わり、新しい価値を生み出す組織文化が育ってきているのです。
ーー会社として大切にしている「人」や「文化」について教えてください。
高木:最も大切にしているのは“人”です。そして『楽しくなければ仕事じゃない』という考え方を、先代から受け継いでいます。社長である私自身が楽しんでいなければ、社員に伝わるはずがありません。社員が“好きな居場所”で働けるようにすることが会社の役割であり、その環境が結果的にお客様や地域社会への価値提供にもつながっていくと考えています。
新工場「TKG LAND」で地域と未来を拓く
ーー地元との関わりはどのように築いてこられましたか。
高木:2026年竣工予定の新工場第3スタジオ(未来創造館)は新事務所TKGステーション及び本社の第1・第2スタジオ等も含めて『TKG LAND構想を計画しています。特に第3スタジオは、ここは社員が集まる場所であると同時に、オープンイノベーションファクトリーとして奥大和の玄関口にしたいと考えています。黒滝村・川上村・東吉野村と連携し、世代を超えて人々が集まり、共創し、ともに学び成長できる場にしていくことを目指しています。
また、地域資源である吉野杉を活用し、奥大和のハブとなる構想を描いています。段ボールメーカーの枠を超えて、地域とともに未来を育んでいく存在でありたいのです。

世界へ――段ボールを価値創造の舞台に
ーー今後、高木包装として挑戦したいテーマはありますか。
高木:今後は海外への発信をさらに強化し、世界中の人々に私たちの技術と想いを届けたいと考えています。すでに『第三スタジオ(未来想像館)』も具体的に動き出しました。さまざまな新しい挑戦を通じて仲間が広がり、可能性がどんどん広がっていることを実感しています。
段ボールという“裏方”に見える存在を、価値創造の舞台へ押し上げることこそ、私たちの使命です。社員、地域、そしてお客様――すべての関わる人々への深い愛情を原動力に、これからも挑戦を続けていきます。
ーーインタビューを終えて
高木包装は、段ボール製造という事業を軸にしながら、人や地域と共生し、大きな夢を現実にしていく企業です。髙木美香社長は「楽しくなければ仕事じゃない」という信念を胸に、社員一人ひとりが創造力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。そして地域と連携し、「TKG LAND」構想で未来を切り開こうとしています。
段ボールという“裏方”の存在を、価値創造の舞台へと押し上げる姿。その背景には、ものづくりへの情熱と、社員・地域・顧客すべてに注がれる深い愛情がありました。
Products






Company Info.
| Name | 株式会社高木包装 |
| Location | 〒639-2122 奈良県葛城市薑74-2 |
| y-hirose@takagi-hoso.co.jp | |
| HP | https://takagi-hoso.com/ |