奈良奥大和@OKUYAMATO
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Nature of Okuyamato

奥大和の自然

山々と清流、人工林が織りなす奥大和の自然

奈良奥大和@OKUYAMATO

四季の移ろいを余すことなく感じられる山岳地帯と、のどかな高原

空から降った雨が山へと染み渡って土壌を豊かにし、森を育む。山から湧き出た水が清流となって人々の暮らしを支える。木の根が張り巡らされた山は、洪水や土砂災害を防いで里の暮らしを守り、山から伐り出した木は人々の生活を豊かにするーー。そんな自然の循環が途切れることなく続き、その循環の中に自然の一部として人も存在してきたのが、奥大和です。

特に南部には、神秘的なほどに山深い山岳地帯が広がり、険しい岩峰、深い渓谷、早瀬急流、連続する滝、樹齢400年の木など、手付かずの自然が在ります。日本有数の雨が多い地域でもあり、湿潤であるために多様な植物が密生。豊富な水量は吉野川を通じて奈良県全域への水の供給源となっていることから“奈良県の水がめ”と呼ばれています。

キレイな水が流れる渓流の上流では、渓流釣りも盛んです。アマゴの養殖も盛んで、水面からもキラキラと輝くアマゴの姿が見られます。林業から引退した後にもできる仕事として始められた養殖ですが、村の暮らしを支え、河川の生態系も守る大切な仕事になっています。近年では釣り客だけでなく、清流を求めてやってくる人たちの川辺でのキャンプやカヌー、SUPなどのアクティビティも盛んになっています。

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また、吉野は「一目千本」とも称される全国屈指の桜の名所。秋になると山々の木々が紅葉へと姿を変え、冬には枝が氷をまとう樹氷が見られる地域もあり、四季の移ろいを存分に堪能できるのも魅力です。全体的に温暖な気候ながら真夏でもエアコンなしで過ごせるという、とても過ごしやすく穏やかな気候に恵まれています。

東部地域には「大和高原」と呼ばれるなだらかな高原地帯が広がります。高原地帯は標高が高いので冷涼な気候を利用し、高原野菜やお茶が育てられてきました。畜産業も盛んで羊が飼われている光景が見られたりと、高原ならではの、のどかで開けた風景が広がっています。

奥大和の自然桜

最高級木材を育て、使い、育てることで山を守る

ひとことで森林とは言っても、森林には自然のままの「天然林」と、人の手で植えられた「人工林」があります。世界に類を見ない美しさを誇る吉野杉や吉野檜は、人工林。天然林が伐採されたあとに、建築材としてより価値の高い杉や檜を植える植林が江戸時代初期に始められ、現在まで約500年という植林の歴史を持つ吉野林業は、世界最古の人工林の一つとも言われています。

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吉野林業の特徴は「密植」という、他地域にはない特別な植え方。一般的な植林の3,4倍の密度で杉や檜の苗木を植えるのです。それは木の成長を遅らせることで年輪の幅を狭くし、木目をまっすぐにするため。そしてこまめに枝打ちをし、成長が悪い木を取り除く間伐を数十年ごとに行っていきます。100年ほどの時間をかけながら“ベストオブベスト”の木を選び残していくのです。手はかかりますが、年輪幅が一定であるために強度が高く、色艶や香りがいい、最高級木材と呼ばれる木が育つのです。

木を育て、使い、また育てて大きくして使うという循環は、自然を健全に保つことにも繋がっています。山が健全に保たれれば、川や水をキレイに保つことができ、土砂崩れなどの自然災害もある程度防ぐことができます。一度にすべての木を伐ると山が痩せて崩れやすくなるため、100年単位で計画を立てて植林をしているのも吉野林業ならでは。今植えている木が育った姿を自分では見ることができないけれど、未来を見据えて、未来のために植えるのが吉野林業の在り方なのです。

500年前に確立された、吉野林業という持続可能なシステム。100年単位という長いスパンの循環にひかれて移住してくる若いアーティストや木工作家、家具職人も増えてきています。