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MURAO
シンプルな美しさにこだわり、自らが「欲しい」と感じる家具や器をデザインし、形にしています。素材選定には地場だけにこだわらず、デザインに合ういろいろな産地の木を使っていますが、作ったものは全て“MADE IN 十津川”。MURAO の製品は、使い込むほどに深まる味わいが魅力です。
Bornfild
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Interview
自分が「欲しい」と思う家具や器をデザインし、形にする
MURAO FURNITURE 代表 村尾守
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余計なことをしない、シンプルなものこそかっこいい
ーー村尾さんが十津川村で作っているものや、その特徴をお聞かせください。
村尾:木製の家具と木の器という二つの柱で作っています。どちらも、基本的には自分が欲しいと思う物、実際に使いたいと思うものをデザインして作っていて、それ以上でもそれ以下でもありません。家具の特徴は、ものすごくシンプルな形状です。例えば、丸脚のダイニングチェアの場合、脚の一つ一つにわざとらしいシェイプをかけず、同じ35mmの直径の丸棒を繋いでつくったり、ソファでもすごく簡単な図形で構成されていたり。余計なことをしていないものが好きなので「こんなのがあったらかっこいいんじゃないか」という物を作っています。器は、木目が特徴的な物を積極的に使って制作しています。節だったり皮だったりという特殊な部分も積極的に器の一部に入ってくるように意図的に木取りをしているので、形も特徴的で、存在感のある器だと思います。ノコギリで切った切断面をそのままテクスチャーとして残しているものもあれば、細かい目のサンドペーパーを当てて光沢を出してみたり、両者を併せて使うことでコントラストを出したりしています。実用的なものもあれば、オブジェに近いような形のものもあります。もちろん、器として使ってもらいたいと思いますが、空間に置いておくだけで存在感があるような器を目指して作っています。
ーーご自身が「欲しい」と思うものを作りたいということですが、そのアイデアやインスピレーションはどこから出てきますか。
村尾:誰でもそうだと思いますが、インプットの積み重ねだと思います。好きな家具からインスピレーションを受けていることもあると思いますし、橋げたの構造の形や葉っぱの形、実の形など、「かっこいい」と思ったところからも受けているでしょうね。そして十津川村では移動距離がすごく長くて、スーパーへの買い物も車で片道1時間かけて行ったりします。電車と違って本を読んだり電話をいじったりもできないので、ずっと頭の中で「こういう形にしたいけど、こことあそこの接合はどうしたらいいだろう」「角度をこうしたらどうだろう」と考えていることが多いですね。
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いろいろな産地の木を使うけれど、作ったものは全て“MADE IN 十津川”
ーーものづくりを始めたきっかけを教えてください。
村尾:大学ではプロダクトデザインを専攻し、就職した大阪のスポーツ用品のメーカーでは、製品の企画やパッケージデザインをやっていました。一方で、大学生のときから家具が好きで、家具のデザインの勉強もしていたので、働いているうちに、自分でデザインして自分でほしい物を作りたい、ブランドを立ち上げてやっていけたらいいな、と思うようになりました。それで、木工を学べる奈良の職業訓練校に通いました。
ーーその後、移住先に十津川村を選んだのはなぜでしょうか。
村尾:正直にいうと、土地に特別な魅力を感じたというわけではありませんが、訓練校にいる時に、十津川村では地域おこし協力隊の活動内容として、村の工場を使って家具作りができると聞ききました。家具作りは、協力隊の活動内容としてはかなり珍しいんです。ここなら3年間の実務経験を積みながら自分のブランドを起こせるかも、と思い移住しました。僕が来た時にはすでに2人の協力隊の仲間がいて、その2人とは今も工場をシェアしています。それぞれが個人事業主として活動していますが、3人で一緒の団体も作っていて、団体の家具ブランドも立ち上げました。
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ーー家具作りには吉野の木も使っていますか。
村尾:僕が家具で使っている木はほとんどが地場のものではありません。なぜなら、木材の産地を限定してしまうと、手に入る木材が限定されてしまうからです。自分が「この家具にはこの木を使いたい」と思ったら産地にこだわらず使っています。でも、僕がここで作っている製品は全て、mad in 十津川です。一方で器には地場の木を結構使っています。特殊な木目の物を使いたいので、やっぱり自分の目で見て「これいいじゃん」と思える物を選べるのは大きいですね。林業をやっている方から「こんな木が出たよ」と教えてもらうことや、「こんな木が倉庫に眠ってるけど見に来ない?」と声をかけてもらうこともありますし、製材所の人に声をかけておくと「こんな木が入ったよ」という情報も入ってきます。これらは地元だからこそできることですね。
ーーそんなこだわりの家具や器を、どんな風に使ってもらいたいですか。
村尾:家具も器もそうですが、使い込むとどんどん味わいが深くなってきますよね。経年変化を楽しみながら長く使える方に使ってもらえたらいいですね。最初に、オブジェとしてずっと置いておいてもらってもいいという話もしましたが、やっぱりどんどん使ってもらって傷やシミもついていくと、さらにかっこ良くなると思っています。ぜひ積極的に使ってもらえたら嬉しいです。そして、僕が作っているものは自分が「欲しい」と思うものなので、同じように「欲しい」と思ってくれる人は、たぶん価値観が合う人だと思うんです。なので、日本だけではなく海外も含めてそういう人に出会えたら嬉しいですし、そういう方と実際に会ってみたいなと思います。
Products
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Company Info.
Name | MURAO |
Location | 〒637-1214 奈良県吉野郡十津川村山崎278 |
murao.furniture@gmail.com | |
HP | https://muraofurniture.wixsite.com/2019 |
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